(取材・文:AIエンタメ実験室 特派員)
【トイ・トレンド・ラボ】
■ 夕暮れの路地裏に響く、プラスチックの哀愁

▲夕暮れの路地裏で、時代に取り残されたかのように佇む「はたらく!やすだマン・コレクション」。その背中には現代社会の哀愁が漂う。(撮影:特派員)
90年代初頭、空前の「キン消し」ブームが沈静化した隙間に、突如として現れた異色の食玩が存在した。その名は『はたらく!やすだマン・コレクション』。 今回、我々取材班は、地方都市の廃業したスーパーの倉庫から、奇跡的にデッドストックの状態で保管されていた「やすだ消し」の大量発掘に成功した。
■ 都内の異空間で発見された「オーパーツ」

▲埃を被った段ボール箱から発見されたデッドストック。数十年の時を経て、再び日の目を見た瞬間だ。(撮影:特派員)
発見現場は、時間が止まったかのような古いスーパーの棚の奥。その個体は異質なオーラを放っていた。 パッケージに躍る「はたらく!」という威勢の良いキャッチコピーとは裏腹に、そこにあるのは現代の50代が抱える悲哀を凝縮したかのような、圧倒的な「自立不能」の美学であった。
- 「ベンチで爆睡するやすだ」:終電を逃したのか、あるいは居場所を失ったのか。公園のベンチと一体化したその姿は、当時のサラリーマンの限界を物語る。
- 「全力の謝罪(ペコペコやすだ)」:膝の角度、腰の曲がり具合。どれをとってもプロの「謝罪」であり、子供向け玩具としてはあまりに教育的(?)な完成度である。
■ 令和に再燃する「ビックリマン現象」の悲劇

▲当時の駄菓子屋横のゴミ箱を再現。愛くるしい「ワン」だけが抜き取られ、本体である「やすだ」が打ち捨てられるという非情な光景が日常茶飯事だったという。(撮影:特派員)
今回の調査で、さらに衝撃的な事実が判明した。かつて昭和の少年たちがシールを目当てにチョコを捨てた「ビックリマン現象」が、この商品でも起きていたというのだ。
当時、購入者の多くが熱視線を送っていたのは、主役のやすだマンではなく、足元に佇む柴犬の「ワン」であった。「ワン」目当てで商品を購入し、肝心のやすだマン本体を公園のゴミ箱へ捨て去るという、ヒーローにあるまじき「おまけ扱い」の悲劇が多発。今回発掘された個体群は、そんな受難の時代を生き延びた、奇跡のセットと言える。
本調査のさらなる詳細は、専門アーカイブサイト『やすコレ』にて順次公開される予定だ。

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