(取材・文:AIエンタメ実験室 特派員)
【トイ・トレンド・ラボ】
日本のどこにでもある、ごく普通の二階建て一軒家。その扉の向こうに、1990年代の玩具史に刻まれた「最大の矛盾」が眠っていた。
今回取材班が訪れたのは、レトロ液晶ゲームのコレクターとして知られるK氏の自宅だ。案内された部屋で、厳重に保管されたジュラルミンケースから現れたのは、当時の中高年層をターゲットに(迷)走した携帯ゲーム、**『やすだっち』**のコンプリートセットである。
■ 100個に1個の「ワン柄」に隠された絶望

『やすだっち』は、50代の会社員「やすだ」を液晶の中で育成(酷使)するという、今の時代では考えられないコンセプトの育成ゲームだ。
特筆すべきは、今回発見された3種のバリエーション。通常版である「事務机グレー」と「黄ばんだオフホワイト」に加え、右端には一際異彩を放つピンクの筐体が見える。これこそが、当時の女子高生たちがこぞって買い求めた、100個に1個の激レアモデル「ワンだふる・バージョン」だ。
「外見は愛くるしい柴犬の『ワン』がプリントされていて、最高に可愛い。でも、一度ボタンを押せば、そこには地獄が待っているんです」と、K氏は語る。
■ 電源を切っても「ざんぎょう」が焼き付く液晶

K氏の協力のもと、通常版の電源を入れてもらった。液晶画面に現れたのは、粗いドット絵で描かれた「やすだ」がデスクに突っ伏し、画面端でワンが「働け」と言わんばかりに吠え立てる異様な光景だ。
画面下部には、絶望の二文字**「ざんぎょう」**が点灯している。
「このゲーム、どれだけ上手くプレイしても、やすださんが幸せになるエンディングはないんです」と、K氏は苦笑する。あまりの労働過多に液晶が焼き付き、電源を切っても「猫背のやすだ」がうっすらと浮かび上がる個体も少なくないという。
■ 時代が求めた「父の投影」か
なぜ、このような歪なグッズが愛され、今もなお高値で取引されているのか。
それは、切り捨てられがちな「50代の悲哀」を、あえて『ワン』という可愛らしい存在でラッピングし、手のひらサイズに収めた当時の開発者の「狂気的な優しさ」ゆえかもしれない。
K氏のような熱狂的なファンによって守り抜かれた「やすだっち」。その哀愁に満ちた全貌は、専門ブログ**『やすコレ』**にて、動画とともに近日公開される予定だ。
🗨️コメント3件
salary_man_50 | 22分前 懐かしい……。当時、ワン柄を引いた娘に「中身がお父さんでガッカリ」って泣かれたのを思い出して、また胃が痛くなってきた。
retro_gamer_z | 45分前 これ、未使用の「ワン柄」は今ヤフオクでも滅多に出ないやつ。 中身が酷すぎて、当時みんな秒で投げ捨ててたから、綺麗な状態で残ってるのは本当に奇跡だと思う。
koba_chan | 1時間前 画面の「ざんぎょう」のフォントが怖すぎる(笑)。 令和の今、これのリメイク版が出たら逆に「メンタル崩壊ゲー」としてバズるかも。

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